1.民法とはどのような法律なのか

民法とはどのような法律なのか

1.民法とはどのような法律なのか

(1)私人間の権利義務関係を調整するための法律

民法は、私人間(個人や団体、会社など)の権利義務関係を調整するための法律です。 つまり、私たちの日常生活やビジネスにおいて発生する様々な契約や財産、家族関係などに関するルールを定めています。

要は、私たちが日常生活を営む上で行なっている、売ったり買ったり、働いたり、物を借りたり貸したりするような、お金や物に関する個人間のやり取りを規律する法律(財産法)をイメージしてもらえば良いです。

ここで大切なのは、民法は「私人間」の権利義務関係を規律する法律なので、以下のような事例は民法の規律から外れます

(例)
XはY市から令和7年度分の課税処分を受けたが支払わなかったので、Y市が滞納処分によりXの預金を差し押さえて取り立て、強引に滞納税額に充当した。

この事例の場合も、Xのお金に関するやり取りですので、民法が適用されているかというと、そうではありません。なぜなら、Xの相手方であるY市は地方自治体であり、「私人」とはいえないからです。

このような事例では、地方税法や国税徴収法などが問題となります。

このように、民法が問題となるということは、私人間(会社や団体を含みます)での法的トラブルであるとイメージしてください。

(2)パンデクテン方式

パンデクテン方式とは、「総則」として一般的、抽象的な規定を冒頭にまとめ、その後に個別の法律関係について体系的に整理して規定する法律構造です。

(例)Aは未成年者であるにも関わらず、Bからゲーム機を購入した。

民法上、未成年者が親の同意なく行なった法律行為は事後的に取り消せるとされています。未成年者という「人」が行なった法律行為は、売買契約や賃貸借契約、金銭消費貸借契約など「契約」の種類に関わらず取消すことができるということです。

つまり、未成年者という「人」という性質は、様々な「契約」という場面で問題となりうる事情ですので、民法では「人」が「契約」よりも前の方に規定されています。

【民法典の構成】

第一編 総則 通則

       人(権利能力、意思能力、行為能力、住所、不在者財産管理、同時死亡の推定)

       法人

       物

       法律行為(総則、意思表示、代理、無効及び取消し、上限及び期限)

       期間の計算

       時効(総則、取得時効、消滅時効)

第二編 物権 総則

       占有権(占有権の取得、占有権の効力、占有権の消滅、準占有)

       所有権(所有権の限界、所有権の取得、共有、所有者不明、管理不全)

       地上権

       永小作権

       地役権

       留置権

       先取特権(総則、先取特権の種類、先取特権の順位、先取特権の効力)

       質権(質権、動産質、不動産質、権利質)

       抵当権(総則、抵当権の効力、抵当権の消滅、根抵当)

第三編 債権 総則(債権の目的、債権の効力、多数当事者の債権及び債務、債権の譲渡、   債務の引き受け等)

        契約(総則、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、   寄託、組合等)

       事務管理

       不当利得

       不法行為

第四編 親族 総則

       婚姻(婚姻の成立、婚姻の効力、夫婦財産制、離婚)

       親子

       親権(総則、法定財産制)

       後見(後見の開始、後見の機関、後見の事務、後見の終了)

       保佐及び補助(保佐、補助)

       扶養

第五編 相続 総則

       相続人

       相続の効力(総則、相続分、遺産の分割)

       相続の承認及び放棄(総則、相続の承認、相続の放棄)

       財産分離

       相続人の不存在

       遺言(総則、遺言の方式、遺言の効力、遺言の執行、遺言の撤回及び取消し)

       配偶者の居住の権利(配偶者居住権、配偶者短期居住権)

       遺留分

       特別の寄与

2.権利能力

  権利能力=権利義務の主体となる能力

 (例)  AはBに対し、甲土地を1000万円で売った

AB間には売買契約が成立し、AはBに対し甲土地の所有権を完全に移転する義務、BはAに対し1000万円を支払う義務を負います。また、Bは甲土地の所有権を取得します。

権利と義務がABそれぞれに帰属しています。これはABが権利能力を有しているからです。

 (例) Aは、Bと結婚し、BはAの子(C)を妊娠している。Aは、自分に何かあった場合に備え、家族に財産を残しておこうと考え、BとCに1000万円ずつ贈与した。

AはBとCと贈与契約を締結し、1000万円を渡そうとしています。

まず、AB間についてはそれぞれ権利能力を有しているので、Bは1000万円を得る権利を有します。

他方、AC間については問題があります。Cは未だ出生していませんので、権利能力が認められず、1000万円を得る権利を有しません。

権利能力というのは、権利義務の帰属主体として適切な存在であると民法が認めた時点から死亡するまで認められます。

民法3条は、私権(民法上の権利)の帰属は出生してからと規定しています。

第3条 私権の享有は、出生に始まる。

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