3-2-1 【過去問検討】未成年者

【令和3年10月-問5】

次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 令和3年4月1日において18歳の者は成年であるので、その時点で、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することができる。

2 養育費は、子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるものであるから、子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する。

3 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。

1 令和3年4月1日において18歳の者は成年であるので、その時点で、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することができる。

肢1 〇

(解説)

民法改正により成人の年齢が18歳以上となりました。本問はこのような成人年齢に関する知識を問う問題です。

(成年)
第4条 年齢18歳をもって、成年とする。

2 養育費は、子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるものであるから、子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する。

肢2 ×

(解説)

養育費は親が子供を扶養するにあたり当然に認められる義務です。この養育義務というのは子供が経済的・社会的に自立するために必要な範囲で認められるものですので、逆にいうと経済的・社会的に自立するような年齢に達すれば、支払義務は消滅します。その一つの目安が成人年齢です。子供が成人に達するということは、いわば子供から大人に変わるということですから、もはや養育というものは必要ないようにも思います。

しかし、民法はこのような杓子定規な考えをとっていません。養育義務は子供が経済的・社会的に自立することを目的としていますので、その必要性が認められ以上、親の養育義務は存続します。

したがって、子供が成年に達したら直ちに養育費の支払義務が終了するという選択肢は誤りです。

〇ポイント:択一試験のテクニック
以上が法律論としての解説になりますが、以下では択一試験のテクニックとしての解き方を説明します。
 本問については、これまで考えたことがない受験生が大半ではないでしょうか。本番では、このように勉強したことがないような問題も出題されます。その場合に正答率を高める解き方にはいくつかの方法があります。
①民法における制度の基本的理解から推論する
②この事案で誰が可哀そうなのか考える
③常識的に事案を考えてみる
 本問では、③の視点で解答を導くことができます。
 現代社会では大学まで子供を進学させるご家庭も多いかと思います。子供が18歳になったとたん、親が養育費を一切支払わず、食費、水光熱費、大学の学費などを全て子供に負担させるというご家庭は必ずしも多くはないように思います。
 この点からしても、子供が成人に達したら養育費を支払う義務がなくなるというのは常識的に違和感を覚えますので、選択肢として誤りと判断できます。

3 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。

肢3 ×

(解説)

営業を許された未成年者はその営業に関する法律行為を法定代理人の同意なくして自由に行うことができますが、許可された営業行為以外の法律行為は取り消すことができます(6条)。

よって、「その営業に関するか否かにかかわらず、・・・・当該行為を取消すことができない」という部分は誤りです。

(未成年者の営業の許可)
第6条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

⇒6条は許可された営業に関してだけ、未成年者も行為能力を有すると規定しています。

【宅建過去問 令和5年-問8】

未成年者Aが、法定代理人Bの同意を得ずに、Cから甲建物を買い受ける契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aに処分を許された財産はなく、Aは、営業を許されてはいないものとする。

1 AがBの同意を得ずに制限行為能力を理由として本件売買契約を取り消した場合、Bは、自己が本件売買契約の取消しに同意していないことを理由に、Aの当該取消しの意思表示を取り消すことができる。


2 本件売買契約締結時にAが未成年者であることにつきCが善意無過失であった場合、Bは、Aの制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできない。


3 本件売買契約につき、取消しがなされないままAが成年に達した場合、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったAは、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を取り消すことはできなくなる。


4 本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合、BがDへの売却について追認していないときでも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできなくなる。

1 AがBの同意を得ずに制限行為能力を理由として本件売買契約を取り消した場合、Bは、自己が本件売買契約の取消しに同意していないことを理由に、Aの当該取消しの意思表示を取り消すことができる。

肢1 ×

(解説)

未成年者は一部を除き、ほとんどの法律行為を自由に行うことができません。仮に、未成年者が法定代理の同意なく行った法律行為は、取消すことができます。本問は、この取消権者が誰なのかを問う問題です。

未成年者自身が行った法律行為についてもっともよく理解し、利害関係を有するのは未成年者自身です。民法は同意なく法律行為を行った制限行為能力者自身にも取消権を認めています(120条)。

(取消権者)
第120条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。

⇒120条は「制限行為能力者」に取消権を認めています。制限行為能力者には未成年者のみならず、成年被後見人、被保佐人、被補助人、すべてを含みますので、これら全ての類型の者に取消権が認められている点に注意しましょう。制限行為能力者が行った律行為についてもっともよく理解し、利害関係を有するのは制限行為能力者自身ということです。

2 本件売買契約締結時にAが未成年者であることにつきCが善意無過失であった場合、Bは、Aの制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできない。

肢2 ×

(解説)

以前、制限行為能力者制度は本人を一定の枠にはめ、機械的・画一的に保護する制度ですと説明しました。以下のようなイメージです。取引の相手方の善意・無過失のような事情は一切考慮されません。相手方よりも制限行為能力者を優先的に保護します。

3 本件売買契約につき、取消しがなされないままAが成年に達した場合、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったAは、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を取り消すことはできなくなる(〇)。

肢3 

(解説)

本問は制限行為能力者が行った法律行為に関する追認が問題となっています。そこで、まず追認の要件を確認しておきましょう。

追認の要件は以下の二点です。

・取消権者

・取消しの原因となっていた状況が消滅、かつ、取消権を有することを知った後

(取り消すことができる行為の追認)
第122条 取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。
(取消権者)
第120条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、①制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人(親権者)、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
(追認の要件)
第124条 取り消すことができる行為の追認は、②取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、③取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。

本問では、以下のように追認の要件に当てはめることができます。(条文の①~③を充足しています)

3 本件売買契約につき、取消しがなされないまま(①)が成年に達した場合(②)、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったA(③)は、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を取り消すことはできなくなる

上記の通り追認権を行使するための要件を満たしますので、Aは本件売買契約を追認することができます。そして、追認の効果は不安定な状態にある法律関係を確定させることですから、追認後は本件売買契約を取消すことができません。

 以上より本選択肢は正しい、といえます。

4 本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合、BがDへの売却について追認していないときでも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできなくなる。

肢4 ×

(解説)

本問は法定追認の問題です。

本問では、AもBも追認していません。

しかし、明示的に追認行為をしていなくとも、黙示的に追認を行ったと受け取れる行為を行った場合には、追認したものと扱う法定追認という制度があります。本問では、法定追認の要件をみたしていないでしょうか。

まず、法定追認の要件を確認しましょう。

法定追認は、追認の要件+125条1項各号の事由、です。下記の図を参考にして、本問に当てはめてみましょう。

4 本件売買契約につき、が追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合、BがDへの売却について追認していないときでも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできなくなる。

 本問は、Aが成年になる前に甲建物をDへ売却しているので、法定追認の要件を満たしていません(上記図の「五」の要件)。よって、追認の効果は生じておらず、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことができますので、本選択肢は、誤り、です。

【平成28年-問2】

制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。

1.古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。

肢1 ×

(解説)

(未成年者の営業の許可)
第6条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

未成年者に行為能力が認められるのは「その営業に関して」だけです。法定代理人が許可した営業に関してだけ行為能力を認めるのであり、その他の法律行為については未成年者を保護することにしています。

本問では、未成年者は「古着の仕入販売に関する営業を許された」のであり、かかる営業行為に関しては法定代理人の同意なく自由に行えます。しかし、「自己が居住するために建物を第三者から購入」する行為は、古着屋の営業行為とは無関係です。

よって、法定代理人の同意が必要な行為であり、同意なく未成年者が行った法律行為は取り消すことができます。

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